小耳



「11月に入るんですよ。僕、モノを見ないで契約しちゃいましたもん」
「あ、そう。11月のいつ頃?」
「末ですね。まだ、日本には全然入ってきてないんです」
「うん、うん」
「今ならこれですね。グァテマラのサンタクルス農園の。小さい農園なんで、うちに入ってくるのは50袋のうちの1袋の、その半分くらいで」
「グァテマラね」
「はい。透明感があって、後味がしみ渡って。粗挽きでね」
「じゃ、それ」
「はい。あと300ですから。あぁ、328ありますんで、差し上げます。中途半端に残してもあれですから」
「ありがとう」
「それから、今日のストレートコーヒー、パンテ○×※...の....なんで、どうぞ」


喫茶コーナーも併設している珈琲豆店で聞こえてきた、常連らしい客と店員の会話。
最後の方は、もうなんだか分からなかった。
あと、11月末に入るはずの、すごいやつの名前も。