坂と中州

ある日、突然、大金持ちが東京のどこかに鉄道を作りたいと言ってきたら、どうしたらよいか。 「東京箱庭鉄道」(原宏一著)はそんなふうに始まる。 経済効果などを気にせずに、ごとごとと走る楽しさが感じられる鉄道が欲しい。 いくつかの提案の末に、主人公…

  神宮前にルイス・バラガン邸をたずねる

ワタリウム美術館で、”ルイス・バラガン邸をたずねる”という展覧会をやっている。 メキシコの建築家、ルイス・バラガンの自邸のインテリアを部分的に再現したものだ。バラガンの建築の魅力は、光と色を巧みに操りながら、静寂な空間をもたらすところにある。…

  箱根、研修所、エスキス

箱根に行った目的は、千葉工業大学の学生たちの卒業設計と修士設計の中間エスキス。 それを、彼らの先生が設計して竣工したばかりの某社研修所でやることになり、お招きいただいたのだ。研修所の建築は、2つの中庭を囲むプラン構成で、周囲の山並みに反応し…

  究極の建築

箱根で、巨匠が晩年に設計した2つの建築を続けて見ることができた。 建築家が思考と実践を重ねた末にたどり着いた究極の境地を垣間見る。吉田五十八の設計による旧岸信介邸。75才のときの作品。 もともと和風、洋風を昇華した住宅建築を得意の作風としてい…

  ナイキパーク

しばらく前に、渋谷の宮下公園がナイキパークとして改装されるというニュースを聞いた。 少し調べてみると、単なるネーミングライツに留まらず、新たにスケボー場が整備されるなど、ナイキ流の公園のプロデュースと言っていい内容だ。 先週の快晴の日曜日、…

  個室都市

F/Tの「個室都市・東京」を体験。 体験としか言いようがないような体験。 高山明さんの前回の作品「サンシャイン63」は都市の記憶をテーマに、 作品の切り口は移動することだったように思うけれど、 今回は都市の生活者をテーマに、コミュニケーションの仕掛…

  ジブリ的風景

今日、宮崎駿監督に関係するニュースが2つあった。 ポニョの着想を得たという鞆の浦の埋め立て&架橋にストップをかける判決と、 杉並区の「トトロの住む家」跡地の公園デザインを提供したというニュース。 どちらも監督が直接関わる場所だから、ニュースが…

  小耳

「11月に入るんですよ。僕、モノを見ないで契約しちゃいましたもん」 「あ、そう。11月のいつ頃?」 「末ですね。まだ、日本には全然入ってきてないんです」 「うん、うん」 「今ならこれですね。グァテマラのサンタクルス農園の。小さい農園なんで、うちに…

  鳩山氏の動静

いま猛烈に忙しいはずの鳩山由紀夫氏が、サマーウォーズを観に行って、 モスバーガーをテイクアウトして帰ったというのは、ちょっといいニュースだ。 政調会長と一緒だったらしいので、まさか密談というわけもないだろうけれど。

  越後妻有ツアー2009

3泊4日の、大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2009ツアー。 今年はハイエースを借り切って、集団でわいわい話しながら遠足のような雰囲気でした。 ストーム・ルーム(ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー) 見知らぬ人同士がひと…

  アンダーグラウンド

汐留に建築家の展覧会を見に行った。林立する超高層ビルの入り口に案内サインが瞬く。再開発された街区の地下へと降りて行く。建築家は都市と交通の関係を扱っている。実は会場には入らなかったので、これ以上詳しくは知らない。「帝里加」は「デリカ」と読…

  所沢ビエンナーレ

今日から始まった第1回所沢ビエンナーレを見てきた。 「引込線」という展覧会タイトル通り、西武線の車庫が会場。柱も梁もアングルとリベットで構成されたトラス構造。 こういう「線」がうるさい会場は美術展に向かないと思いきや、からっと乾いた感じで意…

  コルビュジェの本音

世界遺産の指定が肩透かしを食ってしまったけれど、国立西洋美術館ではル・コルビュジェ展をやっている。 ぐるぐると螺旋状に無限成長するという美術館モデルなのだが、弟子による新館はそのモデル通りにはなっていない。 おまけに、免震構造が導入され、い…

  こたつ問題

建築系ラジオの、こたつ問題というのを聞いた。 妻有の建築系の作家の作品にレベルの低いものがあるという話。僕は、2006年にフラムさんに町営宿泊施設である松葉荘の敷地内でどうだ?って言われたけど、 10世帯くらいしかない田戸という集落でやりたいって…

  ARCHITECT/2.0

ARCHITECT/2.0展で清澄白河からGYREへ、途中でギャラリー間でカンポ・バエザ展も見る。 菊竹さんとバエザの展示が自分で描くスケッチが中心なのに対し、より若い建築家の展示は模型が多い。 その凄まじい人力の投入ぶりが、なんだか痛くなる。 人につくらせ…

ベルク

新宿ルミネからほど近く、地下街にベルクがある。 コーヒーも飲めるし、ビールも飲めるし、ホットドッグも食べられる。 建築家の内井昭蔵さんは、子供の頃「箪笥の抽き出しをぜんぶ開けた状態」が好きだったそうだ。 いろいろなものがごっちゃに溢れていてい…

ヴィガネッラ

昨年、イタリアのヴィガネッラという谷間の小さな村に大きな鏡が設置されたというニュースが流れた。 陽の射さない冬の間、鏡に反射させて村に光を導くのだという。 あれから1年、村人たちは日替わりで鏡を磨きながら次の計画を練っている。 google mapsの…

IKEAへ

KAUSTBY BJURSTA ERSLEV RACKEN GESTALTA SVEPA... あふれる商品に、あらゆる名前。 すっきりしたデザインと、すこし読みにくいスペルが北欧調。 名前は最も自由で、最も平等で、最も安いのだ。

表参道ヒルズへ

学生時代、建築界のトップランナーは安藤忠雄で、 関西に旅行しては、大阪、京都、姫路、淡路島と安藤建築巡りをした。 そこでは路地や水辺、テラスや広場など、つねに周辺環境と触れ合うスペースがつくられていた。 だけど今日見てきたヒルズは、状況がまっ…

「マイ・アーキテクト」を観る

「マイ・アーキテクト」は、建築家ルイス・カーンの息子が亡き父親を理解しようと 知人や作品を訪ね歩く旅を追ったドキュメンタリー映画である。 作品を巡る旅は、機能的な研究スペースを目指したリチャーズ医学研究所から始まって、 古代遺跡にも間違えられ…

東京オペラシティへ

収蔵品による企画展「抽象の世界-色・かたち・空間」展は迫力がある。 加納光於や中西夏之、難波田龍起らの作品を続けて見ていくと、 抽象画とは画家が捉える世界の抽象化というより、 キャンバスの前に立つ画家自らの抽象化であると言えるかもしれない。 身…

上野集合住宅オープンハウスのお知らせ

このたび、team2DKの集合住宅シリーズ第4作目となる 『上野集合住宅』の竣工にあわせて、オープンハウスを開催いたします。 上野の杜を望む場所に建つ14階建て全60戸のワンルーム型賃貸集合住宅です。 敷地の前を通る首都高速1号線からできるだけ距離をとる…

江戸東京博物館へ

両国で「東京エコシティ-新たなる水の都市へ」展が開催中だ。 盛りだくさんの展示資料もすごいが、最後に黒川紀章と丹下健三が魅せてくれる。 DNA二重螺旋のタワーが銀色に輝くHelix計画の模型は、Kisho Kurokawaのサイン入り。 砂浜に置かれた東京計画1960…

前川國男建築展へ

東京ステーションギャラリーの前川國男建築展へ行った。 前川さんは初期のモダニズム建築や民家的な住宅、 中期のオフィスと集合住宅、後期の美術館などの公共建築に大別できる。 そのなかでは大屋根の自邸や、阿佐ヶ谷のテラスハウスは とても清々しい建築…

「影の光」展へ

原美術館へ、オラファー・エリアソンの個展を見に行った。 光を精妙に操るアーティストと言えば、 すぐに思い浮かぶのはジェームス・タレルだが、 タレルの光は、薄明の向こうに広がる異世界への窓としての光、 エリアソンの光は、観る者を包み込みその場を…

調布飛行場へ

調布飛行場のあたりはかつて軍用基地や中島飛行機の研究所があったところで、 いまでもゼロ戦の掩体壕がいくつか残っている。 周辺は公園整備の工事中だったが、これらは残されるのだろうか。 ガリバートンネルのような形、でも実はタイムトンネル。 戦闘機…

「横浜トリエンナーレ2005」へ

ケニヤの作家イングリッド・ムワンギの磔刑図に子供が向き合っている。 この作品も高嶺格や奈良美智+grafの丁寧な作品に比べれば、 メッセージはシンプルでもメディアとしては舌足らずだ。 例えば作家の生いたちを知っていないと、なかなか観客の足を止めら…

「イサム・ノグチ展」へ

牟礼には、20代のとき自転車で四国をまわる途中で立ち寄った。 庭園美術館はまだ開館していなくて、イサム家の屋根が塀越しに見えるだけだった。 札幌には、まだ行ったことがない。 モエレ沼公園はまだ完成していなくて、ワタリウムの展覧会のカタログで見る…

清渓川復元

ソウルのど真ん中で、老朽化した高速道路の高架を取り壊して、 暗渠になっているかつての川を取り戻そうという工事が大詰めを迎えている。 全長5.4km、幅は広いところで80mに及ぶ都市改造といえるような大工事だ。 「高速」から、川の流れるスピードへ。 近…

ロバート・スミッソン

ロバート・スミッソンの回顧展に合わせ、彼が遺したスケッチに基づいて、 ”Floating Island”というプロジェクトが実現したそうだ。 樹の生えた船=浮島がタグボートに牽引されて、マンハッタン島を周る。 現在の眼で見ると、なんだか牧歌的に見えてしまうけ…