個室都市



F/Tの「個室都市・東京」を体験。
体験としか言いようがないような体験。
高山明さんの前回の作品「サンシャイン63」は都市の記憶をテーマに、
作品の切り口は移動することだったように思うけれど、
今回は都市の生活者をテーマに、コミュニケーションの仕掛けを切り口としている。


インターネットカフェをモデルとしたような、
個室=けっして閉じているわけではない、かりそめの空間が設営されて、
そこで次々と映し出されるインタビュー映像を見る。
インタビュアーは、誰に対してもテンポよく同じ質問を投げかけていく。


それらを見ているうちに、観客の関心は自分ならどう答えるだろう...というように内向きになっていくとともに、
ゆるい時間を過ごせる(1時間単位で部屋を借りるが、映像は短いので急かされることはない)ようになり、
なにより個室の気安さもあって、意外にくつろいだ気分になっていく。
かりそめでも自分の世界。
コミュニケーションを拒んでいるわけでもないが、絶えず周囲に気を配るような緊張感もない世界。


しかし、そんな安穏も突然破られる。
オプショナルツアーを体験するならば、そんな世界にエマージェンシーコールが鳴り響く。
物理的にも、精神的にも、むき出しの世界へ投げ出されるのだ。


「個室都市・東京」に関心をもたれた方は、ぜひオプショナルツアーまで体験することをおすすめしたい。